農業法人設立支援農地所有適格法人の設立から、農地取得・経営発展まで
「会社設立」だけではなく、農業経営の将来まで見据えた法人化を。
農業経営を法人化する際に大切なのは、単に株式会社を設立することではありません。どの農地で、何を生産し、どのように経営を拡大していくのか。農地を所有するのか、借りるのか。認定農業者を目指すのか。将来、補助金・融資を活用して規模を拡大し、農業機械やスマート農業技術を導入するのか。こうした将来像から逆算して、法人形態・定款・出資者・議決権・役員構成・農地取得・営農計画を一体的に設計することが重要です。
農林水産省に33年間勤務した農政分野の経験と、行政書士として12年間培ってきた行政手続の経験を生かし、国の農業政策・農地制度・各種支援制度と、実際の農業経営とを結び付けることを重視しています。国の制度を知ることと、現場でその制度を「使える形」にすることは別の問題です。
※ これまでに農業関係業務に取り組んできた地域です。地域ごとに異なる営農条件、行政機関・農業委員会等の実務を確認しながら支援します。
農地所有適格法人とは
農地を「所有」して農業を行う法人
「農業法人」と「農地所有適格法人」は、同じものではありません。農業を事業として行う法人を一般に農業法人と呼びますが、その中で農地法に定める一定の要件を満たし、農地を所有することができる法人が「農地所有適格法人」です。
農地所有適格法人になるための独立した「認定証」や「免許」が交付される制度ではありません。農地法に定められた要件を継続して満たすことが必要です。農林水産省も、法人による農地取得について、法人形態・事業・議決権・役員の各要件を示しています。
農地を「所有する」のか「借りる」のか
「農地を買って経営したいのか」「農地を借りて農業に参入したいのか」によって、法人設計そのものが変わってきます。まずここを決めることが出発点です。既存の企業が農地を借りて参入する場合は、企業の農業参入支援もあわせてご覧ください。
農地所有適格法人の4つの要件
法人設立前から確認しておきたい農地法上の要件
農地所有適格法人として農地を所有するためには、主として次の4つの要件を満たす必要があります。

株式会社なら「公開会社でないこと」
株式会社の場合には公開会社ではないことが必要です。合同会社・合名会社・合資会社といった持分会社や、農事組合法人も選択肢となります。「株式会社がよいか、合同会社がよいか」は設立費用だけで判断せず、将来の出資、事業承継、役員構成、資金調達、農地保有まで考えて決めることが重要です。
売上の過半が農業であること
法人の主たる事業が農業である必要があります。自ら生産した農産物の加工・販売など一定の農業関連事業も含まれ、農業とその関連事業による売上高が法人全体の売上高の過半となることが基本です。生産 → 加工 → 販売 → EC・直販 → 地域資源活用まで将来的に展開する場合は、設立時の事業目的や経営計画も重要になります。
農業関係者が議決権の過半
原則として、農業関係者が総議決権の過半を占める必要があります。「誰がいくら出資するか」だけでなく、誰がどれだけ議決権を持つのかを設立段階から確認しなければなりません。
役員の過半が農業に常時従事
役員の過半が農業に常時従事する構成員であることに加え、役員または重要な使用人のうち1人以上が実際の農作業に従事する必要があります。常時従事・農作業従事には原則として年間150日、年間60日といった基準があるため、名目的な役員配置ではなく、実際の営農体制まで踏まえた検討が必要です。
食品事業者等と連携する場合の特例(農業経営発展計画)
2025年(令和7年)4月から農業経営発展計画の制度が始まりました。農地所有適格法人が食品事業者等との出資による連携を通じて経営発展を図る場合、農林水産大臣の認定を受けることで、議決権要件の特例(農業関係者が3分の1超、かつ農業関係者と食品事業者等を合わせて2分の1超)を活用できます。定款に、農地の権利移転・転用や取締役の選解任について株主総会の特別決議を要する旨を定めることなどが条件です。
要件は「後から合わせればよい」とは限りません
農地所有適格法人は、会社を設立した後で農地法の要件を合わせればよい、というものではありません。出資者・議決権・役員・事業目的・農業への従事体制を、法人設立前から一体的に設計することが重要です。
農業法人設立・農地取得までの流れ
構想段階から営農開始までを一つの計画として進めます

農業経営の構想
栽培品目、地域、農地面積、売上目標、販売方法等を整理します。
農地の確認
取得予定・賃借予定の農地、農業振興地域、地域計画、農地バンク等を確認します。
法人形態の選択
株式会社、合同会社、農事組合法人等を比較します。
出資・議決権・役員構成の設計
農地法上の要件を満たしつつ、将来の資金調達・事業承継も見据えて設計します。
定款・事業目的・事業計画の作成
法人設立
農地取得・貸借手続
農地法第3条許可、農地バンク等、案件に適した方法を検討します。
農業委員会・市町村等との手続
営農開始
認定農業者・融資・補助金・スマート農業へ
農地の売買・貸借については、農地法第3条による農業委員会の許可、または農地バンクの「農用地利用集積等促進計画」など、法令に基づく手続が必要です。
手続の順序は案件ごとに変わります
実際の手続順序は、法人形態、農地、地域、農業委員会、農地バンクの事務処理日程等により異なります。「この順番でなければならない」という一律の正解はないため、案件ごとに逆算して組み立てます。
認定農業者・地域計画・農地バンク
法人を「地域農業の担い手」として育てていく
法人を設立すること自体が、農業経営のゴールではありません。今後の農業政策では、地域計画、農地の集積・集約化、認定農業者等の担い手施策との連携がますます重要になります。

認定農業者
認定農業者制度は、農業者が「農業経営改善計画」を作成し、市町村等の認定を受ける制度です。計画には、経営規模拡大、生産方式の合理化、機械・施設の導入、経営管理の合理化、農業従事の改善等を盛り込みます。認定農業者になることで、スーパーL資金をはじめとする融資、税制その他の各種農業支援策につながる場合があります。
地域計画
地域計画は、地域の農地を将来誰が利用していくのかを地域の話合いによって明確化し、将来の農地利用の姿を示していく制度です。2026年現在も地域計画の実現・ブラッシュアップが進められており、農業経営支援策との連携も強化されています。
農地バンク(農地中間管理機構)
2025年4月以降、従来の市町村による相対の利用権設定の仕組みは、農地バンク(農地中間管理機構)を経由する方法に一本化されました。一方、農地法第3条による許可方式は引き続き利用できます。
3つを別々に考えないこと
新規参入や規模拡大では、「法人設立」と「地域計画への位置付け」と「農地確保」を別々に考えないことが大切です。地域計画に位置づけられているかどうかが、その後の農地確保や補助制度の入口にも影響します。
補助金・融資・設備投資
法人設立前から資金計画を考える
農業法人の設備投資には、大きな資金が必要になる場合があります。トラクター、コンバイン、田植機、農業用ドローン、選果設備、ハウス、環境制御設備、加工施設等を導入する場合には、自己資金だけでなく、補助事業や制度融資を組み合わせられる可能性があります。

2026年度にも、農林水産省では「地域農業構造転換支援事業」「経営発展支援事業」など、農業経営の発展や設備投資等に関係する支援策が実施されています。
「法人を設立してから補助金を探す」のではありません
将来の設備投資まで考えて法人を設計することが重要です。補助制度によっては、認定農業者であること、地域計画への位置付け、事業計画、成果目標などが要件になることがあります。やまと-農-では、法人化とあわせて利用可能性のある補助制度・融資制度を確認し、農業経営全体から導入計画を検討します。
補助金の詳しい進め方は Ⅱ 農業を発展させる ─ (1) 補助金活用支援 でご案内しています。
スマート農業・農業DX
「法人化」と同時に、次世代型の農業経営を考える
農業者の減少、人手不足、高齢化が進むなか、農業法人経営では生産性向上と省力化が重要な経営課題となります。農業経営に利用できる技術は急速に広がっています。
- 自動操舵・自動運転農機
- ロボットトラクター
- 農業用ドローン
- 自動水管理システム
- ハウス環境制御
- センサー・IoT
- 営農管理システム
- AI・画像解析
- リモートセンシング
- 自動収穫・選別技術
スマート農業技術活用促進法は2024年10月1日に施行され、農業者等による「生産方式革新実施計画」と、開発・供給側による「開発供給実施計画」の認定制度が設けられました。認定を受けた者には税制・金融等の支援措置があります。
やまと-農-では、これらを個別の手続として分断せず、ひとつの農業経営として組み立てます。導入技術そのものの検討は スマート農業導入支援 でご案内しています。
農地所有適格法人の設立後の維持管理
農地所有適格法人は「設立して終わり」ではありません
農地所有適格法人や農地を借りている法人には、設立後も農地法上の義務があります。特に重要なのが、毎事業年度終了後3か月以内の事業状況等の報告です。農地について権利を有する各市町村の農業委員会へ報告する必要があり、報告を怠った場合には30万円以下の過料の対象となることがあります。

また、次のような変更によって、農地所有適格法人の要件に影響する可能性があります。
- 株主・社員の変更
- 株式・持分の譲渡
- 増資
- 役員変更
- 代表者変更
- 事業内容の変更
- 農業売上高の変化
登記上は問題なくても、農地法上は問題になることがあります
法人登記上は問題のない変更でも、農地法上の要件に影響する場合があります。設立時だけでなく、設立後も継続的に農地法上の要件を確認することが重要です。
農業法人設立の相談事例
このようなご相談に対応します
個人農家から法人化したい
農地を個人名義のまま使用するのか、法人へ貸すのか、将来的に法人所有とするのかを整理し、法人設計と農地手続を検討します。
親の農地・農業経営を承継したい
相続・事業承継と農地法上の手続を整理し、次世代の農業経営につなげます。
会社を設立して新たに農業へ参入したい
農地所有型とリース型を比較し、農地確保、法人構成、営農計画から検討します。
農業法人化とスマート農機導入を同時に進めたい
設備投資、補助制度、融資、認定制度を含めた事業計画を検討します。
農業法人をさらに大規模化したい
農地集積、地域計画、農地バンク、設備投資、食品事業者等との連携まで経営発展を検討します。
こんなお悩みはありませんか?
- 農業法人を設立したい
- 農地所有適格法人の要件を確認したい
- 株式会社と合同会社のどちらが適しているか分からない
- 個人農家から法人化したい
- 親の農地・農業経営を承継したい
- 農地を購入・借りたい
- 異業種から農業へ参入したい
- 地域計画・農地バンクについて相談したい
- 認定農業者を目指したい
- 補助金・融資を活用したい
- スマート農機・農業DXを導入したい
- 農業法人の規模を拡大したい
農業法人の設立には、会社法だけでなく、農地法、農業経営基盤強化促進法、地域計画、農業委員会の運用、認定制度、補助制度など、複数の制度が関係します。やまと-農-は、農業者・農業法人・農業参入を目指す企業の皆様とともに、地域の農業を次世代へつなぐ仕組みづくりを支援します。
よくあるご質問
Q1.株式会社でも農地を所有できますか?
Q2.合同会社でも農地所有適格法人になれますか?
Q3.農地を所有しないと農業法人は設立できませんか?
Q4.農業経験がなくても法人を設立できますか?
Q5.農地を購入する前に法人を設立した方がよいですか?
Q6.個人名義の農地を、設立した会社で使用できますか?
Q7.農地所有適格法人になれば補助金を受けられますか?
Q8.認定農業者の申請も相談できますか?
Q9.スマート農業についても相談できますか?
Q10.法人設立後も相談できますか?
農業法人設立についてご相談ください
農地・法人・経営を、一つにつなげて考えます。
東京都江戸川区西葛西5-1-11
COCOハウス西葛西 9F
構想段階からご相談いただけます
「まだ農地が決まっていない」「法人化すべきかどうか迷っている」という構想段階からで構いません。まずは現在の農業経営、予定している農地、栽培品目、法人化の目的、将来導入したい農業機械などをお聞かせください。
初回相談は5,000円(税別/1時間)です。ご相談・お打ち合わせは面談とWEBミーティングのどちらでも承ります(農業分野では面談が大半です)。
お預かりした個人情報は、個人情報保護方針に基づき適切に管理します。
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企業の農業参入支援
既存の企業が異業種から農業へ参入する場合の、事業構想・参入地域・農地・地域との調整を支援します。
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農業施設整備、農業機械・設備投資に使える補助制度の選定から、事前協議・申請・実績報告まで。
詳しく見る → II 農業を発展させる ─ (2)スマート農業導入支援
ドローン・自動操舵・環境制御・営農データ活用の導入計画から、認定・補助金・運用まで。
詳しく見る →※ 会社・法人の設立登記の代理は司法書士の業務です。登記申請を専門家へ依頼する場合は司法書士への依頼が必要です。やまと-農-では、行政書士業務として、農業法人設立に伴う事業計画、定款等の書類、農地法その他の行政手続などを中心に支援します。
※ 補助金・交付金は年度、公募時期、地域、事業内容等によって対象要件が異なり、採択を保証するものではありません。
※ 制度・補助金等の内容は2026年8月時点の情報を基礎としています。制度改正、予算、公募状況、地域ごとの運用等により変更される場合があります。